Connect ─ テクノロジー、アイデア、そして人と人との
繋がりで生まれる、新しいコンテンツ

Adobe MAX Japan 2007は、アドビが開発者やクリエイターに情報や知識をシェアし、それが作品やコンテンツに活かされ、そのコンテンツが多くのユーザに利用されることでさらなる発展に繋がるというマッシュアップの土台となる場です。これがAdobe MAX Japan 2007のテーマのひとつである「Connect」の意味でもあります。基調講演で披露された技術がユーザの手でコネクトされ化学反応を起こすことで、コンテンツは爆発的な力を持ちます。そして、見逃してはいけないのが人と人との繋がりです。Adobe MAX Japanではいたるところで、出会いという繋がりや再会という繋がりが生まれ、これもまた、次のコンテンツの起爆剤となるでしょう。ここでは「Connect」をテーマとしたAdobe MAX Japan 2007のトピックスをご紹介します。

Adobe MAX Japan 基調講演

あらゆるユーザのアイデアや情報との関わり方に変革をもたらすアドビ プラットフォーム テクノロジーの現在

ケビン リンチ

Adobe MAX Japan 2007の注目すべき基調講演は、アドビ システムズ 株式会社代表取締役社長 ギャレット イグルにより本イベントのテーマである「Connect、Discover、Inspire」についての説明から始まりました。「アドビはモバイルを含め今後展開されるクロスプラットフォームの流れの中で、開発者やクリエイターと情報や知識を共有し、RIAやユーザ体験についての課題を一緒に乗り越えていきたいと考えている」としたうえで「新しいコミュニケーションの変革を日本で起こしていきたい」と高らかに宣言しました。

続いて、米国アドビシステムズ社のプラットフォーム事業部担当シニア バイスプレジデント兼チーフ ソフトウェア アーキテクトであるケビン リンチが登壇し、「素晴らしいユーザ体験を提供するためには、まずコンテンツこそが王であり、コンテンツの魅了にフォーカスすることが重要。ユーザが期待する情報へのアクセスをいかに簡素化できるようにするのか、さらにGUIに意味のある動きを持たせることが重要になってきます」と、新しい次元のユーザ体験を提供する方法論について説きました。

現在のユーザ体験に欠かせない動画について、Flash PlayerがH.264へ対応することで、PCのフルスクリーンにも耐えうる720pレベルの高画質動画の配信が可能になります。そして新しいメディア再生アプリケーションである「Adobe Media Player」で、RSSでフィードされる情報を元に動画再生を行ったり、オフラインでも使用できるなど、動画コンテンツにおけるユーザ体験を大きく広げるメディアプレーヤーであることをアピールしました。

■AIRによるリッチインターネットアプリケーションの新次元

次にRIA(Rich Internet Applications)の実例として、Webブラウザ上で動作するワープロソフト「Buzzword」が紹介され、続いてAIRアプリケーション化されたBuzzwordを披露。ブラウザ上では行えなかったドラッグ&ドロップによるPCへのデータ保存や、ローカルにあるWord書類を一括でアップロードするといった連携がAIR版では可能となっています。

Salesforce.comが開発したJavaScript&HTMLベース営業支援ツールでは、ネットに繋がっていない状態でローカルマシンにあるvCard形式の名刺データをドラッグして読み込み、その後ネットに繋がるとサーバ上の顧客情報が自動的に書き換えられるデモも披露されました。すでにあったWeb用のコードをAIR化するのに要したのは、開発者1人で2〜3日だけだったと、AIRアプリケーション作成の容易さを強調しました。

AIR 1.0はほぼ完成状態にあり、正式リリースももう間もなくで、完成を前により多くのユーザからのフィードバックを求めていると結びました。

株式会社NTTドコモ執行役員 マルチメディアサービス部長夏野剛氏

株式会社NTTドコモ執行役員
マルチメディアサービス部長夏野剛氏
「優れたデザインやファッション性、直感的に扱えるユーザインタフェイスを可能にするFlashは、携帯コンテンツに変革をもたらしており、コンテンツ分野におけるドコモの収益性に高く貢献しています」

次にFlexについてテッド パトリックが登壇し、現在オープンソースとして開発中のFlex 3についての新機能が紹介されました。リファクタリングへの対応、メモリとパフォーマンスをプロファイリングすることによる内部動作の視認性向上、変数、メソッド、プロパティを複数のクラスをまたいで検索することができるようになるなど、より生産性の強化が図られています。

その他、Flexと密接に連携できるデザイナー向けのGUI作成ツール「Thermo」が紹介されました。「Thermo」はデザイナーが一切の開発コードを記述することなく、PSDファイルなどの素材を元にリストやメニューといったUIデザインやアニメーション効果の作成を行えば、それがMXML形式で保存され、Flex開発者に渡すことでデザイナーとエンジニアの間でスムーズな協業作業が行えるという「RIAデザイン用ツール」です。

■AIRによるリッチインターネットアプリケーションの新次元

アドビからのプレゼンテーションが一通り終わったところで、株式会社NTTドコモ執行役員 マルチメディアサービス部長夏野剛氏が壇上に招かれ、Flash LiteならびにPDF機能を搭載した携帯端末の展開と、コンテンツ分野における堅調さをアピールしました。

より詳細なレポートはこちら

アドビ システムズが考える未来に向けた
テクノロジーの可能性と日本市場に対しての展望

■RIAのバックエンドに革命を起こすアドビ

Adobe MAX Japan 2007、2日目の基調講演は、アドビのサーバテクノロジーをテーマに行われました。ケビン リンチの紹介で登壇した米アドビ システムズのテッド パトリックは、バックエンドを担う製品である「LiveCycle ES」を紹介しました。

RIAのデータアクセスをよりリッチにするLiveCycle Data Services, PDFフォームとFlexアプリケーションの連携開発を容易にするFrom Guide機能、ビジネスプロセスの自動化を実現するLiveCycle Process Managementと利用者へのポータル環境を提供するWork Space機能、さらに情報セキュリティを実現するLiveCycle Rights Managementなど、用途に合わせて組み合わせることができる機能やソリューションコンポーネント群が含まれており、ソリューションの要件にあわせた対応が可能です。

ケビン リンチが再び登壇し、Flexを用いコラボレーションアプリを製作する「CoCoMo」、音声データをRIAに統合する「Pacifica」、ドキュメント共有のためのフリーストレージサービスである「SHARE」、そしてイメージデータを管理し目的に合わせたフォーマットと解像度での提供を簡単に行えるScene 7 Imagengといった、開発中のプログラムを紹介しました。

続いて、サイバーエージェント、ヤフー、楽天という日本を代表するインターネット企業である3社が登壇し、自社のRIAへの取り組みについて話しました。

株式会社サイバーエージェント 新規開発局局長の長瀬慶重氏、同社新規開発局 RIAテクニカルディレクター 矢内幸広氏(写真左) ヤフー株式会社 マーケティング本部長 大蘿淳司氏 楽天株式会社 取締役常務執行役員兼CPO室室長 安武弘晃氏
株式会社サイバーエージェント 新規開発局局長の長瀬慶重氏、同社新規開発局 RIAテクニカルディレクター 矢内幸広氏(写真左)。 ヤフー株式会社 マーケティング本部長 大蘿淳司氏(写真中央)。楽天株式会社 取締役常務執行役員 安武弘晃氏 (写真右)

■サイバーエージェントの事例

最初に登壇したのは、株式会社サイバーエージェント 新規開発局局長の長瀬慶重氏と、同社新規開発局 RIAテクニカルディレクターの矢内幸広氏です。サイバーエージェントが取り組んだ事例を、矢内氏のデモを交えつつ紹介。「アメーバブログ」で使用するための絵文字をユーザが作成し共有できる「みんなの絵文字」、コミュニティサービス「プーペガール (poupeegirl)」、Web上のタイピングバトル「K-1 WORLD MAX 2007 TYPING BUTTLE」などが紹介されました。

さらに矢内氏は、机の上で写真を広げるように、楽しく写真の整理を行うためのAIRアプリケーションを披露。「サービスとサービスをつなぐブリッヂ的なところを目指している」と話し、Adobe AIRの方向性のひとつを示しました。

■ヤフーの事例

ヤフー株式会社の大蘿敦司氏からは、Yahoo! JAPANの中でも多くのユーザが利用するYahoo! メールについて、日本独自の取り組みとしてFlex 2&Flash Player 9ベースで試験開発中であることを公表。

新しいYahoo! メールについて大蘿氏は「もともとは米国で進めているAjaxベースのシステムのローカライズを進めていましたが、レスポンスの問題を抱えていました。そこで試しにFlashで作ってみたところ、レスポンスが高くて使いやすい。いつローンチできるかはわからないが、順次テストを行っていきたい」と話しました。また、その開発面では「Flex 2が開発スピードの向上に役立つ」と話しました。

■楽天の事例

楽天株式会社からは取締役常務執行役員・安武弘晃氏が登壇。安武氏は、同社のショッピングモール「楽天市場」で爆発的な売り上げを誇るショップのサイトを見せながら「売れている商品は必ずしもクールなものではない」と紹介し会場の笑いを誘いつつ、「商売の情熱×適切な情報×リッチなインタフェイスの可能性」というテーマについて話しました。

例えば、ユーザが楽天市場の商品を検索して(楽天市場内での)「お気に入り」に入れるという作業を行う際に、HTMLベースのコンテンツでは作業性に限界があることを示し、それらの操作を直感的に、ドラッグ&ドロップを用いてスムーズに行うことができるAIRアプリケーションのサンプルをデモしました。

より詳細なレポートはこちら

ここで紹介したようにAdobe MAXでは、プラットフォーム間のコネクト、コンテンツ同士のコネクトという技術的な課題とソリューションが数多く提示されました。

そしてその一方で、Adobe MAXはユーザ同士の出会いの場、再会の場でもあります。初日の夜に行われたユーザグループの会は「Community United」をテーマとし、Flash、Flex、ColdFusionのユーザグループ、そして米国アドビの製品担当者が一同に会し、パーティームードのなか、さまざまな意見交換や雑談に花が咲きました。このような場はAdobe MAXの前身であるMacromedia UCON以来でもあるため、まさに「再会の場」というにふさわしいものです。

「Adobe スゴロク CS3・キューブ Award 2007」表彰式

これから紹介する「スゴロクCS3 キューブアワード」は、延べ200名以上の応募作が集まったこのアワード。イラストレーターの白根ゆたんぽ氏、そして映像作家/漫画家のタナカカツキ氏、株式会社バスキュールの田中謙一郎 氏、株式会社ピクルスのタナカミノル氏という“スリータナカ”の4名を審査委員として迎え、全10部門16作品の表彰が行われました。クリエイター同士がAdobe MAXという場で和気あいあいとコネクトしていく場となりました。では、応募された方々の受賞の言葉、さらに審査員からのコメントを交えて、受賞された作品を紹介していきましょう。

Adobe スゴロク CS3・キューブ Award 2007表彰式

◎Illustrator賞

JUN OSON「夫の帰り」
受賞の言葉●「アイデアの元は自分の彼女なんです。さっきまで普通だったのに突然怒りだすのを様子を見て、面白いなって思い、このキューブを作ってみました」
審査員から一言●「ストーリーも面白いし、キューブの中に映っている時計の針がきちんと動いているなど、細かいアニメーション作りが良いですね」

横尾直耶「ブタミンチくん」
受賞の言葉●「お肉屋さんの店先にある可愛い豚の置物。でも店の奥ではこのキューブのようなことが行われているのかな、とイメージしました。PTAとかに怒られるかもしれませんね」
審査員から一言●「これはもう、インパクトの勝利です」

◎Firework賞

坂口祐貴「マイマイダンス」
受賞の言葉●「今日、実は僕の誕生日なんです」(受賞の言葉、終了)
審査員から一言●「なんか…良いんですよね。なんとなく“良いのでは?”で残っていった作品でした」

青木 秋「Sphere」
受賞の言葉●「たぶん皆さん、いろいろと作り込んでくると思ったので、むしろシンプルな作品を心がけました。丸が美川憲一ばりにお色直しするというコンセプトです」
審査員から一言●「面白い作品だというところで、これも最後まで残っていきました」

◎Photoshop賞

オカバタ「永遠のウサ」
受賞の言葉●「自分の中でずっと持っていたキャラクタを、ずっと動かしてみたいと思っていました。それを実現したのがこの作品です」
審査員から一言●「これはグランプリをあげたいくらいでした。見ていて全然飽きないんです」

永井 翔「Halloween」
※作者都合のため表彰式には出席されませんでした。ご受賞おめでとうございます。

◎Flash賞

宮澤卓宏「リッタイヌ」
受賞の言葉●「キューブで何か面白いことは?って考えたら出てきたものです。犬の写真を撮って参考にしたんですが、犬が写真嫌いなので、大変でした」
審査員から一言●「普通は犬を題材にすると可愛いものになるはずなのに、これは凄いインパクトでした」

宗原吉則「キューブオンキューブ」
受賞の言葉●「アワードに応募しようと締め切り間近まで悩んでいて、結局は締め切り1時間前にActionScript 1.0でバっと作ったものです。Flashの懐の深さをあらためて感じました」
審査員から一言●「クオリティがとても高い。キューブの中でBRAVIAの海外CMのような世界観が垣間みれました」

◎Student賞

中角壮一「DIAMOND」「コリーコリー」
受賞の言葉●「まさか自分が受賞するとは思っていませんでした。いいんですか!? (着ているTシャツを見せて)あと、このTシャツは自分で作って学園祭で売ってたものです」

◎タナカカツキ賞

吉田コマキ「榕樹」
受賞の言葉●「ずっとガジュマルの絵本を作っていたんですが、あまり受け入れられなかったんです。でも今回こんな賞をいただけて、すごくうれしいです」
審査員から一言●「スゴロクに乗せて音楽を流すとパワーを感じました」

◎タナカミノル賞

幸林夏樹「QRメッセージ」
受賞の言葉●「キューブだと普通はマウスを使って何かすると思うんですが、そこであえて携帯電話を使ってみたかったんです」
審査員から一言●「キューブにQRコードを乗せていろんなメッセージを見せるという、キューブという発想を見事に壊してくれました」

◎田中謙一郎賞

北條幾子「トラバルニア村」
受賞の言葉●「スゴロクCS3の画面を見たらコレクションのマスが15個あったので、ここを全部自分の作品で独り占めしたいと思い、15パターン応募しました」
審査員から一言●「スゴロクの中で自分の世界観を再構築するパワー、15個も応募した心意気に惹かれました」

◎白根ゆたんぽ賞

西澤 拓「すずちゃん」
受賞の言葉●「審査員がいい加減、審査に疲れたころにツボったんじゃないかと思っています」
審査員から一言●「ちょっと気持ち悪いけど面白いです。すずちゃんを見たいと思わせる魅力があります」

◎グランプリ

千金楽はるな「踊る魚河岸ガール」
受賞の言葉●「ドラムロールやスポットライトを浴びるなんて初めて。築地に住んでいるので、本物の魚河岸ガールを毎日見ていて、憧れているんです」
審査員から一言●「これは満場一致で決まりました。細かい描写、可愛らしさ、時間によって様子が変わるというアイデアも面白い。そして何よりキャラクタが魅力的でした」

松實秀樹「スゴロクロック」
受賞の言葉●「大阪から来たのに受賞せずにこのまま帰るのか!とドキドキしてしまいました。絵が描けない自分の作品が評価してもらえてびっくりしています。いや、狙い通りだったかも」
審査員から一言●「これは魚河岸ガールと同数一位でした。イラスト作品が多い中、たとえ絵が描けなくてもFlashというツールから作品が発想されるという、エンジニアリングのお手本ですね」

***